信じられないことだけど…

おかあさんとふたりで生きていて、耳元で、毎日『死ね』と囁かれている…

そんな環境にさらされている子が、
それでもなお、
おかあさんの悪い話をされるのが嫌で、
聞きたくなくて…

『帰ろう、帰ろう‼』
目の前で、
おばあちゃんの手を引っ張っています。

 

おばあちゃんは、
そのおかあさんのお母様。

 

実の娘にどうすることも出来ず、
まるで他人事のように
娘のことを話し続けます。

 

『家に戻ると、この子を1階に置いて、
自分は(娘は)2階の部屋に入って出てこないんです』

支援学級にいるこの子に、

『何度も耳元で『死ね』と言うんです』

と…。

 

私の毎週土曜日の朝は、この子とふたりきりのレッスン日?

 

レッスンが始まるとすぐに、
「おかあさん、迎えに来てくれるかな…」
と、何度も気にすること。

レッスン中の生あくび。

あたたかい部屋で
「寒い…寒い…」と、言うこと。

レッスンが終わりに近づくと、
「おかあさん、僕を忘れてないかな?」
と、ソワソワ…。

「忘れるわけないよ」
と、なだめても、

「いや…わからない。
ぼくを忘れちゃって来ないかも」
と、真顔で心配していること。

宿題もしていない。
鉛筆も消しゴムもない。

 

そうだったのか…。

全てが繋がった瞬間でした。

 

初めて教室に来てくれた日に、

「6年生になるから、
英語くらい習わせようかと思って…」と、
おかあさんは言っていました。

 

それに応えようと、
英語も少しずつ覚え始めて、
ABCも早く書けるようになったと
喜んだばかり。

 

アルファベットのポスターを
何度も見ながら、
真剣に書いて…

できた時の笑顔を
このおかあさんは知っているのかな?

おかあさんに見せてあげたい。
おかあさんに見てもらいたい。

 

おかあさんに耳元で
『死ね』と囁かれ続けても、
おかあさんしか頼れずに、
認めてもらう手段を探して、
がんばっている子どもの気持ちを
考えたことがありますか?