長い間、家から出られずに
生まれてきたこと、家族の存在、自分の存在、そして、世の中さえも否定し続けていた男の子がいました。
突然かかってきた電話で駆けつけ、
荒れた家の中で、父親の胸ぐらを掴み、
やり場のない苦しさをぶつける彼を止めに入った時
その力の強さに、幼かった頃の彼の姿を重ねて、
「大きくなったね」という成長の喜びと、そこへ辿り着くまでに彼の中で育った苦しみを初めて知りました。
あれから何ヵ月もの間、
彼も、家族も苦しみのどん底から抜け出せず、
何度も流す涙を傍らで見てきました。
そんな彼が昨日、ちょこっと私の横に座って
呟いた一言。
「これから先のことを考えると不安でしかたない…。」
ん?…。今、何て言った?
「これから先のことを考えると不安でしかたない…。」
光が見えた~
何を言ってるの?
まだ、彼は苦しいんじゃないの?
と、思われた方へ解説
自分の目標ややりたいことに向かって
不安や、怖れを感じるからと言って、
進めていないわけではないのです。
そもそも、自分が安心できる領域に
ずっと停滞していると、不安や怖れを感じることもなくなってしまいます。
不安や怖れも自分が進んでいる、
あるいは、進もうとしているサインです。
過ぎてしまった過去ばかりを見つめ、
神様でも直すことのできない、
どうにもならない過去に苦しみ、
その過去が今の自分を作ってしまったと責め続けた毎日の中で…
今の彼は、確実に前を見ている
そんな嬉しい一言をプレゼントしてくれた彼を誘って、
昨日は、久しぶりに、みんなで食事をして、
カラオケも行ってきました
プライバシー保護のため、我が家の画像で失礼いたします(笑)
伸びやかな声で歌う彼の横で、
父親が涙を拭った歌はこちらです
とっても優しい光景でした。
「今が長いトンネルの中だとしたら、どの辺りにいるかな?」
「よくわからないけど、真ん中より少し出口の方かな?」
「出口の光は見える?」
以前、こんな会話をしたことを思い出しました。
今、同じ質問をしたら、
どんな風に答えてくれるのかな…?
記事を読んで、安易にこう考えるのは単純すぎる…
という方もいらっしゃるかもしれません(((^^;)
どんな困難も、一朝一夕には解決しません。
時には、逆戻りの日もあるでしょう。
それでも、嬉しい1日が確実に存在したことを大切にし、
彼の踏み出そうとしている大きな一歩を
素直に喜べる大人でいたいと思っています。
Keep Smiling代表。
パーソナリティーコンサルタント。講演・セミナー講師。各種メディア執筆やテレビ出演なども。発達障害との前向きなかかわり方や、子育てに応用できる心理学をお伝えしています