父の言っていた言葉を思い出すことがあります。

「蒔かぬ種は生えぬ」

母に介護が必要になったのを機に、それまで勤めていた幼稚園を辞めて、自宅で母を看ながら出来る仕事を探していました。

いわゆる「安定した職業」から離れ、自分のやりたいことを成し遂げるために仕事を自ら選ぶ。

母も看たいし、仕事をして収入も得たい。

今、思えば、それが独立の第一歩だったのですが…
そんな夢を叶えようか、どうしようかと迷っていたときに、父が笑顔で私にかけてくれた言葉がこれだったのです。

毎日、たくさんの仕事をさせてもらって、楽しいことも、つらいことも、嵐が吹いて倒れそうになることもあります。

時を重ねるにつれ、若い頃だったら、くよくよ悩んだことですらも、「これが仕事の醍醐味なんだろうな…」とも思えるようにもなりました。

先日、お世話になっている美容師さんに「簡単に20年ていうけどさ、20年、ひとりで仕事をしてきたことはすごいことだよ。」と両肩をポン!と励ましていただきました。

あの時、父の言った「蒔かぬ種」とは、「自分の人生をいかに楽しいものにするか考えること」だと、ようやくわかりかけたこの頃です。

繰り返される毎日が、どうしたら楽しくなるか、ちょっとした視点を取り入れながら、日々意識して過ごすだけで、生き生きと輝きだすことがあるような気がします。