「ちょっと待って!もう少しでここが平らになるから」
と言いながら
爪の横の皮膚をむしり続けて皮膚を平らにしようとしている男の子。
やめたら?・・と制止しても聞き入れてくれません。
小学生の頃は、レッスンで失敗したり、うまく出来なかったりするとこっそり涙を浮かべてしまうような繊細な子でした。
笑顔が優しくとっても無邪気で素直だったこの子の表情が曇り始めたのは
中学2年生の受験を意識しだしたころでした。
成績が思うように伸びないこと、テストの点が上がらないことを
「おまなんか、うちの子じゃない!」
「そんな成績で入れる高校なんかない!」
「高校に入りたかったら自分の金で入れ!」
と両親から言われた言葉を全て真に受けて、毎回レッスンのたびに、
「僕はどうしたらいいの?」
「お金稼げない」
「また、明日も勉強しに来ていい?」
と訴えてくるようになりました。
「おとうさんもおかあさんもそんなこと本当は思ってないから大丈夫だよ」
の一言は焼け石に水・・。
この子の中では、
今まで優しかった両親に強く拒否された、急に自分を脅し始めた、無理難題を浴びせかけてきたことへのショックだけが残ってしまったのです。
そして、時期を同じくして爪を痛めつけてしまうようになりました。
このような時の心の働きには、
- 痛みで気が紛れることによって、強烈なネガティブ思考を緩和できる。
- 助けを求め、注意を引く。
- 自分に罰を与えて罪悪感を和らげる・・などが挙げられます。
行き場のないつらい思いのはけ口が爪や指先に形を変えて現れているのです。
もし、似たような子がいたら…。
その子の出来ることを一緒に見つけてあげてください。(5教科ばかりが勉強ではありません)
毎日子どもたちと接する中で、
向いていることや好きなことを見つけられるような言葉かけや雑談をしてみませんか?
ためらわずスキンシップをしてあげてください。
中学生の男の子でも、頭を撫でたり肩を揉んだりします。
元気な時は跳ね返されますが(笑)
気持ちがつらい時はジィ~っとおとなしくなったり、じんわり涙が出たりします。
自信をつけさせてあげてください。
どんな小さなことでも見つけて言葉にしてほめる!!(どうやら大人は自分の尺度に合わないとなかなか褒めることができないところがあるようです)
ほめられて育った子は根拠のない自信がつき楽観的、前向きになり、新しいことにチャレンジしやすくなります。
子どもたちは喜びや楽しさを身体いっぱいで表現します。
そして、小さな見つけにくいところで悲しさやつらさを訴えているのです。
そこに気づくことができる大人でありたいと思っています。
参考文献:マイヤーズ「心理学」西村書店
Keep Smiling代表。
パーソナリティーコンサルタント。講演・セミナー講師。各種メディア執筆やテレビ出演なども。発達障害との前向きなかかわり方や、子育てに応用できる心理学をお伝えしています