俺がさ、エプロンを洗っていたら、
施設長さんが横で見ていて、ビックリしたんだよ。

心の中で、「早く早く」って思いながらエプロン洗ったよ。

 

でもね、施設長さんは笑顔で、
「慌てなくていいよ」と言ってくれたんだ。

 

仕事から帰宅した息子が、嬉しそうに話してくれました。

 

息子の特性のひとつに、
「臨機応変が出来にくい」があります。

一旦、自分なりのやり方が出来上がってしまうと、なかなか修正が出来なくなり、
周りの状況が変わっていても、ペースを変えることが出来にくいのです。

 

息子が社会に出るにあたり、職場が決まると、
「お互いの理解が得られるように」という願いを込めて、
事前にこの特性をお伝えするようにしてきました。

しかし、実際に発達障害をご存知ない年配の社長さんがいらした以前の職場では、
「何度言ってもわからない」「要領が悪い」と理解されてしまい、
仕事をしている息子の真後ろで社長さんがずっと腕組みをして立っていて、
終いには、1ヶ月で解雇されるという悲しい経験もありました。

 

息子にとって冒頭の1コマは、
もしかしたら、その時の苦い思い出がよみがえって、
少し緊張したのかもしれません。

 

でも、昨日は違いました。

 

「慌てなくていいよ」と声をかけていただいたことで、
どれだけ息子の心がホッと安らいだことでしょう。

 

息子の話を聴きながら、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 

社会の中に理解してもらえる場所がある。
優しく声をかけてくれる人がいる。

障害の有無に関係なく、
これさえあれば、必ず「その人らしい力」は良い方向へ発揮出来ると思うのです。

 

認められると行動しやすくなる。

 

息子がイキイキと仕事に出かけていく姿が嬉しい毎日が続いています。